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基礎科学関連の「事業仕分け」と一連の騒動 (4)

報道を見ていると、どうやら「予算の一本化」というのが1つのキーワードのようです。

文化的側面、費用対効果が見えにくいという意味では、目的や波及効果が異なるものの、基礎科学とスポーツは近いかもしれません。JOCの選手強化事業の「仕分け」の報道では、

蓮舫参院議員は「多くの方がくじ、基金、国費の役割分担を明確化し、スポーツ予算を一本化すべきだとの意見だった」とのコメントをつけた。
朝日新聞 2009.11.26

という蓮舫議員のコメントがあります。

仕分け人「どうして農道という仕切りがあるのですか」
農水省「(一般道とは異なる)農道という仕切りをした方が、予算の優先度が高くなるということだと思います」
仕分け人「優先度の高い必要な道路なら、わざわざ仕切りをしなくても予算はつくのではないでしょうか」
農水省「…」
○「縦割り行政」変えるパワーも
 国民からすれば、農水省所管の農道も林野庁所管の林道も国土交通省所管の国道も、同じ道路である。仕分け人の聞きたかったことは、なぜ道路はいろいろな省庁に管轄が分かれているのか、ということだったのだろう。
あらたにす 2009.11.17

ここでも、「農道、林道、国道の一本化」が取り上げられています。

確かに、縦割りになっていると自分の予算のことしか考えません。全体で効率良くやるにはどうしたらいいか、足して二で割れば安く済むのではないか、という発想が出てこないんです。先にも書きましたが、自分の直接の研究費と、大学の備品なんかは見かけ上は異なるお金から出ていますので、2つを合わせて効率良くという発想はなかなか出てきません。

「一本化」というのは確かに耳障りのよい言葉で、文科省を含め、各省庁に無駄があるのは確かなことでしょう。国民からしたら、応援したくなる気持ちも理解できますし、私も賛成です。

しかし一方で、特別研究員の予算が「縮減」されたとき、いわゆる「ポスドク問題」の話題と同列に語られていました。またグローバルCOEの「仕分け」コメントでは、「RA・PDの雇用対策になっている」という指摘もありました(参照)。どちらも間違った議論ではないのですが、(「仕分け人」が重複していたとしても)「仕分け」作業も縦割りになっているんです。

本来ならば、「ポスドク問題をどうするか、そして有能な人材にはどこから予算を出すか」というのを含めて政府が検討しなくてはいけません。また、大学院生向けの特別研究員とグローバルCOEで大学院生に給与として支払われるお金も、本来なら一本化して、研究に励んでいる大学院生(少なくとも博士課程の学生)に十分に配分されるべきものです。そういう、全体的な視点に欠けたまま、「重複しているから」とか「一本化できるから」という理由で全てを「縮減」にしていったのでは、あまり事態は改善しないでしょう。縦割りのまま予算だけ減らされれば、弱体化するだけで本当に導くべき姿へは辿り着けません。

特別教育研究経費の「仕分け」結果では、予算の重複や、独法化の総括などが指摘がされています。しかし、「すばる」を運営する天文台高エネルギー加速器研究機構(どちらも大学ではない)がそれぞれ大学の独法化の総括する必要はありませんし、それは政府として行うべき作業のはずです。予算の重複があるから、それをどこどこに移管しましょうという議論が起きるのではなく、単に「縮減」としてしまうだけでは、最終的な「仕分け」の効果と実際に現場に出てくる影響を危惧しなくてはいけません。

せっかく国民の注目を集め、また新与党として既存の悪い部分をぶち壊す覚悟がおありのようですから、「仕分け」自体を縦割りにすることなく、もっと広い視点を持ち、より柔軟に、全体がよくなるように「仕分け」の結果を実際の予算編成に適用してもらいたいものです。