放射線量率モニター更新中

ここ (本家) に各地で測定されている放射線量率モニターの値をまとめて可視化しました。本家は研究者向けなので、こちらに一般向けの解説とともに掲載します。原発騒動が一段落するまで、自動更新予定です。


▲ 各地の時系列 (click で拡大) PDF 版dropbox.com が落ちている場合、表示されないことがあります。

使っているデータは、以下の通り。全てここに有志で入力しています。

使用している放射線量率モニターの位置と、福島第一原発からの距離は、↓この地図を参照して下さい。

より大きな地図で places を表示

警告

  • 避難の判断に使うのは素人判断では不可能と思います。行政機関からの指示をもとに、各自で適切な判断をして下さい。
  • 縦軸の単位は、mSv/hour (ミリシーベルト毎時) です。TV 等では μSv/h (マイクロシーベルト毎時) も混在しているので、注意してください。
  • 縦軸は対数表示というものを採用しています。対数表示の意味が分からない場合、グラフから情報を読み取ろうとしないで下さい。非常に危険な判断をする場合があります。例えば、10 倍の放射線量に変化した場合と 1000 倍に変化した場合の差が、画面上の長さでは 3 倍の変化にしか見えません。

図の読み方

  • 観測値点数が多いため、どのグラフがどの観測地点か、気をつけて読んで下さい。第一原発の周辺で観測された放射線量率は、記号のみで表示しています。●正門、西門、モニタリングポスト 1 (MP-1)、MP-3、MP-4、MP-5、MP-6、MP-8、体育館、事務本館、となっています。第二原発 MP-4 は、黒破線- - -です。茨城県北部は実線──での表示で、北茨城市は黒──、高萩市赤──大子町緑──にしてあります。福島県内の各地も第一原発と同様の記号を使っていますが、区別するために実線──を重ねています。─●─福島市─■─郡山市─▲─白河市─▼─会津若松市─○─会津市、─□─南相馬市─△─いわき市─◇─玉川村─+─飯舘村。最後に、東京渋谷は黒の点線……です。
  • 横軸は 2011/3/12 の 0 時を開始点として、時間の経過につれて徐々に範囲を広げています。
  • 縦軸は観測された 1 時間あたりの放射線量で、単位はミリシーベルト毎時 (mSv/h) です。被曝量であり、通常の放射能の定義とは異なります。報道で用いられているマイクロシーベルト毎時に変換するには、1000 倍にして下さい。
  • 縦軸には対数表示を使っています。これは、桁の離れた数値を同じ図に表示するときによく使われます。1 倍、10 倍、100 倍、が図中で同じ間隔で表示されます。10-1、10-2、10-3はそれぞれ、0.1、0.01、0.001 と同じ意味です。例えば 10-3 mSv/h は、0.001 mSv/h ですので、1 μSv/h (マイクロシーベルト毎時) に相当します。
  • 放射性物質の特徴として、半減期の存在があげられます。ある一定の期間に、その放射能は常に半分になり弱まっていきます。例えば半減期が 8 日間のヨウ素 131 では、8 日ごとに観測される放射線量が半分になります。半減期が 30 年のセシウム 137 では、半分の放射能になるのに 30 年かかるため、厄介だとされています。縦軸を対数表示にして図を描いた場合、この半減期に従ってグラフが直線上に見えます。例えば、福島市の 3/18 から 3/22 の期間で綺麗な直線上に乗っていることが分かります。この傾きを調べると、主成分は半減期が 8 日のヨウ素 131 だと推測できます。
  • 水平の赤破線は、下から 2.4 mSv/year、50 mSv/day、500 mSv/day です。積分被曝量の概算用に参照して下さい。
  • 下段の図は、第一原発周辺での風速と風向きを表しています。黒点が風速で、左側の目盛りと対応させると速度が分かります。また赤点は風向きで、右側の東西南北 (EWSN) と対応させて下さい。例えば N の位置に点があるとき、その瞬間は北風である (北から南へ吹いている) ことを示します。360 度分の表示にすると、0 度と 360 度で不連続なグラフになってしまうため、わざと 2 周期分の 720 度の表示にしています。同じようなグラフが上下に重なって見えるのは、そのためです。
  • 図の上の方にが並んでいるのは、いくつかの「事故」を示しています。例えば "#1 Hydrogen Explosion" は、1 号炉の水素爆発の時刻です。また "#2 Smoke" は 2 号炉からの発煙の時刻を示します。

その他の注意など

  • 10 分ごとに自動更新していますが、データの入力作業が更新されないと図の中身も更新されません。数時間遅れくらいで最新の図に更新されています。
  • データの間違いに気がついた場合はご指摘下さい。作図やデータ入力でミスをしている可能性があります。
  • シーベルトの時は「放射能」という単語を使うのは適切じゃない気がするので、「放射線量」もしくは「放射線量率」としています。
  • 読売の記事によると、被曝量が大きくなったため、測定器を正門から西門に移動したようです。正門の測定値を秘匿しているわけではないようです。確かに、データ点を見るとそのようになっています。
  • 茨城県によると、大子町の測定は終了したそうです。北茨城市高萩市の測定から推定して下さい。
  • 日本語を使えないソフトで描画しているので、ローマ字で分かりづらくてごめんなさい。
  • ご質問、ご要望のある方は、コメント欄か Twitter でお願いします。
  • 現場で働かれている方、データ集計されている方、データを整形された方、検算を行ってくれた方、地図を作成してくれた方に感謝します。
  • 最後に、地震津波原発の被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。このグラフは、実際に原発で何が起きているのかを観測データから客観的に理解し、不要な混乱を被災地の外で起こさないように、物理の研究者向けの公開を意図して作成されたものです。安全圏に住まわれている方は、混乱せず、少しでも早く被災地を救済できるように落ち着いて行動しましょう。

Google & dropbox

画像類は dropbox を利用して公開されています。アクセス集中がしたため、転送帯域の上限に引っかかりましたが、特別に配慮をして頂き、解決できました。ありがとうございます。また、データの管理は Google Spreadsheets を利用しています。