CADからGeant4への変換

HEPの人はあれだけ複雑なGeant4のgeometryをどうやって記述しているのかよく分からないのですが(どなたか教えて下さい Geant4 の大御所の方にお伺いしたところ、HEP の方々は結構手でゴリゴリと GDML を書いているそうです。CAD、STEP、GDML の変換はあまり使っていないとのこと。通りで、あまり情報がネット上にないわけです。)、一応CADからGeant4に変換することは可能なようです。AutoCADSolidWorksのような商用のCADソフトから、いったんSTEP形式に変換する作業が必要になります。

以前のGeant4では直接STEPを読めたらしいのですが、人手不足で保守できなくなったため、最新のGeant4には含まれていないそうです。そこで、GDMLという形式に変換してから、Geant4で読み込む必要があります。ただしSTEPは物質の情報などを持てないため、GDMLを作るとき、もしくはGeant4でGDMLを読み込んだ後に、自分で物質の定義をし直さないといけません。結構これは面倒な作業です。また、球だろうが立方体だろうが、何でもかんでも三角形のポリゴンにしてくれちゃいます*1。そのため、可視光のray traceをやるとbugが潜んでいたり、せっかくの球面がガタガタになったりします。

それでもCADを使いたいという場合、STEPからGDMLへの変換が可能なソフトは、

の3つがあるようです。しかし残念ながら、(FASTRADの試用版を除いて)現在無料で容易に入手可能なものはありません。

ST-Viewerは以前は無料(?)配布しており、Geant4でもよく使われていたそうですが、現在はST-Developerというソフトとの同梱のみでしか配布していないそうで、ST-Developerを購入しなくてはいけません。

FASTRADは試用版も存在するものの、取りこめるvolumeの数が20個未満に制限されており、またvolumeの名前もSTEPの読み込み時に失われてしまいます。有料版を購入しないと、これらの制限は解除されません。ただし、geometryを分割してvolumeの数を減らすなり、手動で名前を変更するなりすれば、試用版でも問題ありません。

ESABASE2はeta_maxという会社がESAの委託で作成したものだそうで、現在はESA傘下の大学や研究所でしか利用できないそうです。将来的には外部にも開放する予定だそうですが、今のところ東大には配布できないとeta_maxから回答を得ました。ESABASE2/Debriというものを購入すれば、同等の機能が使えるそうです。

どれも金額を問い合わせていますが、返事が来ません。(追記)FASTRADとST-Developerの見積もりを業者さん(前者はフランスのTRAD、後者は日本の代理店である(株)アイエステクノロジー)から頂きました。Web上に定価表示していない商品なので、金額はここでは書きませんが、「CADのソフト?でもお高いんでしょう?」という感じの金額です*2

*1:G4TessellatedSolidに相当。

*2:10万円では買えないが、1000万円はしません。