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象虫:マイクロプレゼンス―小檜山賢二写真集

書評

象虫:マイクロプレゼンス―小檜山賢二写真集』という写真集は、科学好き人間の心を刺激する。買う必要はないけれど、立ち読みでもいいから、是非一度手に取ってみるといい。

「象虫」という変な顔、変な体つきの虫がいる。昆虫としての生物学的な細かい話はどうでもいいし、自分に興味はない。ただただ、その異様な躯体が美しい。どうしてこんな艶やかな体なんだろう、どうしてこんなに首が長いんだろう、どうして折れてしまいそうな鼻(実際には口吻)がついているんだろう、どうして犬みたいな表情をする種も存在しているんだろう。そんな様々な「どうして?」という思いが、ページをめくるたびに頭の中に浮かんでくる。

この写真集の最大の魅力は、その象虫の撮影技法にある。通常、マクロレンズで体長が数 cm という小さい虫を撮影するときは、被写界深度が浅いせいで、虫の特定の箇所にしかピントがあっていない。しかしこの写真集の著者が使う「マイクロフォトコラージュ」という技法で、あたかも象虫がまさに象のような大きさでそこに存在するかのように感じる。野暮な言い方をすると合成写真なのだが、この技法なくしては、この写真集の魅力は半減しただろう。

ものの 5 分もあればパラパラとめくって堪能できるので、本屋にビニールなしで積まれていたら、本屋さんに遠慮しつつ、立ち読みしてみると良い。